Glossary · 計測用語の定義

AXIOM 用語集

反応時間の計測で使われる用語の正式な定義集です。各定義は1文の正式定義と詳細で構成しています。

反応時間 (Reaction Time)

正式定義: 刺激が提示されてから反応するまでの時間。

校正された大規模計測では、一般成人の単純反応時間は平均約231ミリ秒(ハードウェア遅延補正後で約213ms、N=1469、18〜65歳; Woods et al. 2015)と報告されています。ただし同研究が示すとおり、反応時間はラボやデバイスによって大きく変動し、その差の一部は計測機器のタイミング遅延に由来します。だからこそ、異なる環境で測った数値同士の比較は目安に留まります。AXIOM が反応時間を使うのは「速さを競うため」ではなく、同じ環境・同じ課題で測り続けたときの「あなた自身の変化」が、注意・覚醒状態の代理指標になるためです。

→ 実際に測る: 無料反応時間テスト

中央値 (Median)

正式定義: データを小さい順に並べたときの中央の値。

反応時間の分布は右に裾を引く(たまに大きく遅れる)ため、平均値は少数の遅い試行に引きずられます。中央値はこの歪みに頑健で、反応時間研究では平均より中央値や分布パラメータが好まれます。「平均反応時間」を1つの数字で語るとき、その数字は遅い試行の影響を強く受けていることに注意が必要です。

Ex-Gaussian 分布

正式定義: 正規分布(ガウス分布)と指数分布を畳み込んだ確率分布。反応時間のモデリングに広く使われる。

反応時間データを μ・σ・τ の3つのパラメータに分解します。直感的には「いつもの速さ(μ)」「ブレの幅(σ)」「ときどき起きる大きな遅れ(τ)」。1つの平均値に潰すと消えてしまう「分布の形」の情報を保持できるのが利点です。

μ(ミュー)— 速さ

正式定義: Ex-Gaussian 分布の正規成分の平均。反応の典型的な速さを表す。

「今日は反応が速い/遅い」の基準になる成分。AXIOM は μ をあなたのベースライン(普段の範囲)と比較します。

σ(シグマ)— 安定性

正式定義: Ex-Gaussian 分布の正規成分の標準偏差。反応のばらつきの幅を表す。

同じ人でも反応は毎回揺れます。σ が普段より大きい=反応が散発的になっている、という読み方をします。

τ(タウ)— 集中の切れ

正式定義: Ex-Gaussian 分布の指数成分の平均。分布の右裾=「ときどき起きる大きな遅れ」の大きさを表す。

注意研究では、τ は持続的注意の途切れ(attention lapse)と関連づけられてきました。平均値だけを見ると σ と τ の変化は区別できませんが、分解すると「全体に遅い」のか「普段どおりだが時々大きく抜ける」のかを区別できます。AXIOM が平均ではなく分解にこだわる理由です。

PVT(精神運動覚醒課題)

正式定義: Psychomotor Vigilance Task。合図が出たら即座に反応する単純反応課題で、持続的注意・覚醒度の標準計測法(Dinges & Powell 1985)。

睡眠研究で40年使われてきた「一番固い」認知テストの一つで、練習による上達効果が出にくいことが知られています(だから繰り返し測っても「慣れて速くなっただけ」と区別しやすい)。AXIOM の計測はこの系譜にあります。

ベースライン(あなたの普段)

正式定義: 本人の過去の計測から推定した、その人にとっての通常範囲。

集団平均との比較(「上位22%」のような表示)は最初の興味としては面白いものの、実用上意味があるのは「あなたの普段と比べてどうか」です。同じ250msでも、普段230msの人には「遅い」、普段280msの人には「速い」。AXIOM はこの個人内比較を中核に置いています。

ティルト (Tilt)

正式定義: ポーカー由来の用語で、感情(主に損失・悔しさ)によって判断の質が下がった状態。

ティルトの厄介さは「自分では気づきにくい」こと——メタ認知(自分の状態を評価する能力)自体が早い段階で劣化するとされるためです。AXIOM はティルトを診断しません。反応時間という代理指標に現れる統計的な変化(兆候)を、あなたの普段と比べて表示します。

→ 詳しく: ティルト状態とは何か

速度帯(帯称号)

正式定義: 無料テストの中央値反応時間につく中立的な速度ラベル。

Lightning(〜199ms)/ Falcon(200–239ms)/ Cheetah(240–279ms)/ Wolf(280–339ms)/ Bear(340–399ms)/ Tortoise(400ms〜)。速度の区分であって、能力・状態・優劣の判定ではありません。ブラウザ計測には1〜2フレーム(約16〜33ms)の不確実性があるため、帯は参考表示です。

→ 自分の帯を測る: 無料反応時間テスト

ブラウザ計測の限界

正式定義: ブラウザ上の反応時間計測が原理的に持つ、約16〜33ms(1〜2フレーム)のタイミング不確実性。

画面に刺激が実際に表示された瞬間をブラウザは正確に知ることができず、フレーム落ちや実行環境(仮想マシン・リモートデスクトップ)も検出できません。AXIOM の無料テストが「参考値」と明記し、デスクトップアプリが存在する理由です。

出典: Woods, D. L., Wyma, J. M., Yund, E. W., Herron, T. J., & Reed, B. (2015). Factors influencing the latency of simple reaction time. Frontiers in Human Neuroscience, 9, 131. / Dinges, D. F., & Powell, J. W. (1985). Behavior Research Methods, Instruments, & Computers, 17(6), 652-655.

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